レポート

アナリストレポート第1回
「データ取得の現場から」

2018年06月29日 野球

野球アナリスト:佐々木浩哉

 

「スポーツのデータアナリスト」と聞いて、どのようなイメージを持つでしょうか。このレポートでは、データスタジアムに所属するアナリストによる、アナリスト業務にまつわるさまざまな事柄を紹介していきます。データの収集活動、取得したデータの整理、データの分析。一般の生活者からスポーツ現場の指導者など、異なるレイヤーに向けたそれぞれに最適なデータの伝達。多岐にわたるアナリストの業務を、現場の様子から何気ない日々の一コマまで、さまざまな角度からつづります。

 Sun
陽光降り注ぐスタジアム

データスタジアムが保有するさまざまなスポーツのデータは、その多くが赤坂にある本社ビルの中で記録されています。例えば野球のケースだと、プロ野球中継などの映像から得られる情報(球種、球速、コース、打席結果などなど……)を、パソコンにインストールされた専用のソフトウェアに入力しています。

ただ、映像のない試合をデータ化する必要に迫られることもあります。その場合は試合が行われている現地に飛び、スタジアムのスタンドでデータ取得に励むことになります。映像のない試合はアマチュア関係が多く、全国各地の地方球場などで作業を行っています。

さまざまなアナリストの業務の中から、今回はスポーツ現場におけるデータ取得について紹介したいと思います。

 

Input
バックネット裏でデータ取得を行うスタッフ。熟練の見極め技術が要求される

現地でのデータ入力はノートパソコン、またはタブレットを用いて行います。球種や球速など、入力する項目は赤坂のオフィスで行う時と基本的に変わりません。ただしセンター方向からの映像が中心の野球中継と違って、バックネット裏の座席からの諸情報の見極めとなるため、慣れるまで少し時間が掛かります。変化球の軌道なども判別が難しく、現地業務に就いたばかりの頃はどの球種を投げているのかよく分からない……といったこともありがちです(研修期間が設けられていて、横に座るサポートスタッフがフォローします)。中継映像のようにリプレー動画がなく、選手交代の情報なども球場のウグイス嬢のアナウンスに頼らなければならないなど、オフィスでの入力作業以上に集中力を必要とする仕事です。

ちなみに、バックネット裏から球種を見極めるコツは捕手の構えをよく見ることです。打者の内角にミットを構えた時は、カーブやスライダーなどの変化量の大きい球種、細かなコントロールの難しいフォーク、チェンジアップを投じる確率が下がる。追い込んでから捕手が真ん中付近にアバウトに構えたらフォーク、チェンジアップに注意する、などなど。もちろん投手や捕手によって傾向の個人差はありますが、こうした配球のセオリーを頭に入れておくことで、投手がボールを離す前から球種の選択肢をある程度絞ることができます。

 

Rainy
天候の乱れは現地入力の大敵。折り畳み傘、カッパが大活躍

見極めの難しさは経験を積むことで克服できますが、現地入力で一番の悩みのタネとなるのが球場の天候です。雨でずぶ濡れになりながらの入力は、非常に辛いものがあります……。屋根が付いているタイプのスタンドであれば問題ないのですが、地方の球場などは多くの場合フルオープンの環境で、逃げ場がありません。もし試合が雨天中止となっても喜んではいられず、大会日程順延による滞在スケジュールの組み直しなどに追われることになります。大会期間中は常に天気予報をチェックし、担当者は祈るような思いで入力を行っています。

 

Stadium
スタジアムの空気感は最高

自然豊かな環境に恵まれている球場も多いため、雨の心配さえなければ現地での入力作業は非常に気持ちがいいものです。また、社会人野球に代表されるようにアマチュア野球はユニークな応援を行うチームが数多くあり、プロ野球とはまた異なる空間を味わうのも密かな楽しみです。辛いことも少なくない現地入力ですが、この仕事をやっていて良かったな、と思える瞬間でもあります。

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