レポート

アナリストレポート第15回
「トッププロ選手視点による分析」

2019年12月11日 サッカー

サッカーアナリスト:久永 啓

 先日、サンフレッチェ広島のレジェンドである森﨑和幸氏・森﨑浩司氏(以下、敬意を込めて「カズ・浩司」と呼ばせていただきます!)との鼎談の機会をいただきました。これは、JリーグオフィシャルDVD・Blu-ray「サンフレッチェ広島 2019 ICHIGAN」内の企画で、彼ら2人とは、2012~2013シーズンにトップチームで一緒に戦って以来、久しぶりにじっくり話せる時間となりました。

 今回は、元選手とアナリストの両視点から、サンフレッチェ広島の若手選手を分析することがテーマでした。私の場合は、元々現場で分析していたこともあり、いかに現場で活用できる情報を得るかということをメインに考えて分析をしています。

 その情報を最終的に使うのは実際にプレーする選手となるのですが、アナリストの分析によって有益な情報を得られたとしても、それが選手に落とし込まれ、プレーに反映されなければ意味がありません。したがって、アナリスト自身も、選手の肌感覚や意思決定プロセスを理解し、それにマッチした情報提供方法を考える必要があります。

 そういう意味で、今回は、トッププロ選手として長年活躍してきたカズ・浩司とともに分析ができるという大変貴重な鼎談となりました。本レポートでは、その様子を少し紹介したいと思います。

 鼎談の流れとしては、ある選手のプレーと特徴的なデータを私がピックアップして分析し、それがリーグやチームの中のどの位置にランクインしているのかを示した後に、カズと浩司からコメントをもらうというものでした。

 MFのある選手を分析した際に、リーグでトップのデータとなるその選手のプレーを、彼のストロングポイントとして私は提示しました。すると、つい数年前まで同じポジションを担っていた大先輩・カズが、「彼はまだまだ改善すべき部分がある。それが改善されて、チームにとってより効果的なプレーができるようになったら、そのプレーのデータは変わってくると思う。彼にはもっと頑張ってほしい。」と分析。

 つまり、リーグ上位のデータだからと言って、必ずしも良いプレーができていると評価できる訳ではない。そのデータはあくまで現状のパフォーマンスの結果を示しているものであり、プレーが改善されることでその選手のポテンシャルがもっと引き出され、それがデータに反映される可能性がある、という指摘でした。現役時代から中心選手としてチーム全体の動きを見続けてきたカズからの、後輩選手に対する期待の込もった分析となっていました。

 浩司のほうは、攻撃的なMFの選手を取り上げた際に、テクニックに優れたMFだった彼らしい視点を教えてくれました。それは、「このデータが出ている要因は、この選手がファーストタッチやターンで高い技術を持っているから」という、単なる数値だけからは読み取れない、細かい技術の質についての言及でした。

 何気なく試合を見ていると見過ごしてしまいそうなプレーの一部に対して、スムーズな攻撃の流れを作るためには、その技術の質が大きく影響を及ぼすと分析。それがその選手の特徴として発揮され、チームの攻撃に関するデータに表れているという見解でした。浩司自身、現役当時から技術の精度にはこだわりを持ってプレーしてきたのだと思いますし、そこに、絶賛勉強中という解説者や指導者としてのサッカーの見方も加わって、彼にしかできない分析を聞かせてくれました。

 2人とは鼎談が終わった後もいろいろな話をさせてもらいましたが、選手としてトップレベルの経験を積み重ねながら試行錯誤を繰り返してきた彼らの知見は、やはり深い。プロ選手経験を持たないアナリストとして、分析について改めて考えることができました。

 最後になりましたが、今回の機会をいただいたサンフレッチェ広島様、森﨑兄弟に感謝するとともに、是非多くの方々に、先行予約特典!のこの鼎談の様子を見ていただきたいと強く感じています。

JリーグオフィシャルDVD・Blu-ray 「サンフレッチェ広島 2019 ICHIGAN」10月12日(土)より、先行予約受付開始のお知らせ

https://www.sanfrecce.co.jp/news/goods/1123

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