野球アナリスト:小林 展久
こんにちは。配信サービス部の小林展久です。普段は野球のデータアナリストとして、テレビ局やウェブ媒体などのメディア向けデータ提供を主に担当しています。
データ分析という仕事をしていると必然的にデータベースに存在するデータを加工、抽出する過程が発生します。そのためプログラミングに関しては全くの素人でしたが、SQLやPythonといった言語を学び、業務に生かしています。今回のレポートでは、プログラミングの初心者だった私がそれらの言語を学ぶことで得られたものに触れていきます。
そもそもプログラミングとは何でしょうか。答えはコンピューターに所定の動作をさせるための命令文です。これから紹介するSQLもその1つです。
最初はMicrosoft AccessというRDBMS(リレーショナル・データベース・マネジメントシステム)でデータ集計の基礎を学びました。このAccessの特徴の1つがGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)です。SELECT、JOINなどの意味が分かっていなくても、項目のドラッグ&ドロップで実行できるというGUIは仕組みとして未経験者には理解しやすく、今後プログラミングを学ぶ人にはまずGUIのソフトから始めてみては、と思います。
#分析に必要なもの
データの集計作業に慣れてきた頃、私はある壁に直面しました。データ分析の方向性がすぐぶれてしまうのです。これは分析に限った話ではありませんが、アウトプットを行う場合
1.目的を設定
2.1に沿う情報を収集、加工して検証
3.検証結果の考察
4.1から3を踏まえて結論
のような流れになりますが、1の部分、つまり“なんのために”を深く考えず方向性が曖昧なままデータを整理し、都合のいい結果を提示していたため、時間をかけても目的の達成に近づいているか判断できない、作業に無駄が多いといった悩みを抱えていました。
因果関係を整理する、順序を決めるといった論理的な思考が得意ではないと感じてはいたのですが、分析業務に携わっている以上逃げるわけにもいかず、かといって改善する方法が見えているわけでもない、という日々を過ごしていました。
これが予期していなかったタイミングで物事を論理的に、そしてスムーズに捉えられるようになりました。そのきっかけがPythonの学習です。
#融通の効かない相手だからこその発見
Pythonは他のプログラミング言語と比較して、シンプルなコードで行数も少なく、またインデント(字下げ)で動作の優先順位を制御できるという特徴があります。
とある業務を担当するにあたり、1日に30分から1時間かかる単純作業を毎日実行する必要が出てきたため、プログラミングによって自動化したい、Pythonで目的を達成できないかと考えました。その後はprint(“HelloWorld”)のレベルから独学でPythonを勉強し、今では私が何もしなくとも前述の作業をパソコンに毎日実行させています。
しかし、私にとってPython学習の最も大きな成果は作業の自動化ではなく、副産物的に得られた“考え方”だと思っています。
どういうことかというと、Pythonを含めたプログラミング言語は一定の法則に基づいて記述しないと、コンピューターはエラーばかりで何もしてくれません。そのためコンピューターに命令を実行させて思い通りの結果を出力させるには、書き方の順序などに気をつける必要があるのです。
アウトプットイメージ、達成までのプロセス、必要な項目の導出方法の整理はそのまま分析にも当てはまることで、今までの漠然としていた思考がPythonの学習によって整理できたと実感できました。
またコンピューターでも分かるように命令文を作る意識は、曖昧さを理解できるがゆえに誤解する人とのコミュニケーションにも役立てられると思いました。今では社内外を問わず、この着想から相手のニーズは何なのか、理解しやすい形になっているか、などを意識して伝える内容や表現を選んでいます。
このように目的や目標と無関係そうな事象にも学びにつながるヒントは存在していて、 そこに気づくかどうかで成長速度を変えられると感じ、様々な方向にアンテナを立てて情報を集めていくようにしています。要するに無駄なことを可能な限り無意味にしないように心がけているということです。
#技量よりも動機
先日データアナリストになるために何が必要ですかと、高校生から質問を受ける機会がありました。
もちろん分析対象の知識、データを扱うスキルがあるに越したことはありませんが、それよりも目の前の物事になぜ?と思えるような思考、疑問に思ったらそこを掘り下げたいと思う好奇心を大事にしてほしい、と答えさせていただきました。
いつもなんのためを考えると疲れるかもしれませんが、迷ったときに理由、目的のような原点に戻る思考に慣れておくと今後どのようなキャリアを送るにしても役に立つでしょう。また好奇心は物事を突き詰める、探求する意欲のことで、分析の動機そのもの。分野がなんであれ、まずは知りたいと思うことが分析につながっていくはずです。
もし今回のレポートを見てアナリストを志す人が1人でもいてくれれば幸いです。スポーツの分析業務に興味のある方は、ぜひ当社に応募いただければと思います。
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