レポート

アナリストレポート第34回
「小井土正亮氏に訊く これからサッカー界を担うアナリストになるために【スポーツアナリスト育成講座特別編レポート】」

2022年04月12日 サッカー

 データスタジアムフットボール事業部の藤です。当社では、現場で活躍できるアナリスト人材の育成を目的に2017年5月より「スポーツアナリスト育成講座」を開講しています。直近では、「スポーツアナリスト育成講座特別編 小井土正亮氏に訊く これからサッカー界を担うアナリストになるために」を3月25日に開催しました。

 小井土氏は、多くのプロ人材を輩出し続ける筑波大学蹴球部で監督を務めています。筑波大学蹴球部の取り組みやこれからのサッカー界を担うアナリストになるために必要なスキルについてなどについてお話いただきました。

■学生が主体の分析活動

 まず始めに「筑波大学蹴球部(以下:蹴球部)の理念や組織、パフォーマンスチーム」についてお話しいただきました。蹴球部では、「良い選手、良いチーム、良い指導者」(の育成・強化)という理念のもとに、「学生による学生のための活動」として自主運営を基本としています。

 そのなかで部員は、選手として活動するだけではなく、組織運営を主体的に担う「パフォーマンスチーム」にも所属しているそうです。パフォーマンスチームの一つに、トップチームの対戦相手の分析を担う「アナライズ班」があります。アナライズ班では、分析の際に最新の機器や分析メソッドを使っているわけではなく、学生自身で購入できる機器を使い、毎試合どう分析してどう伝えるか頭を悩ませて取り組んでいるそうです。

■サッカー分析力はどのように高まっていくか

 続いて、アナライズ班の活動についてさらに詳しくお話しいただきました。講座のなかで「アナライズ班に所属する学生のサッカー分析力はどのように高まっていくのか?」という質問がありましたが、それに対する小井土監督の答えが印象的でした。

 「分析を担当した学生が見たものは間違っていないが、それを今伝えるべきなのか、その現象は自チームと試合をした時に起こるのか、どういう視点で見てどういう目的で伝えようとしているのかによって分析の内容は変わってくる。自分が正しいと思ったこと、見たことだけを言うのではなくて、監督がどのような情報を欲しているか、伝えたいかといったことも考える必要がある。チームが勝つために必要な情報を集めて、うまく伝えることでアナライズ班としての役割が整理されていく。これがこの活動を通して成長していけるポイントだと思う。」

 単純に“サッカーを見る”ことだけでなく、“どのような視点で見て、どう伝えるか”といったことも含めてサッカー分析力と捉えており、毎試合の分析活動を通して学生たちが成長していく姿が想像できました。

■進化するテクノロジーに対応していく

 次に、これからのアナリストに求められる必要な要素について「これまでのサッカー」との比較も交えながらお話いただきました。

 1990年代は限られたテレビ番組や雑誌でしかサッカーの情報を得ることができず、最新の技術、戦術といった情報を手に入れることが容易でない時代でした。サッカーの攻守のスタイルについても欧米型か南米型、遅攻か速攻かといった二分法による分類が主流だったそうです。

 しかし、現在はテクノロジーの進化により、いつでも、どこでも、誰でも最新の情報を得ることができるようになりました。サッカーそのものに大きな変化はないが、戦術が複雑かつ多様化しているのです。サッカーの進化のスピードが早まる中で、テクノロジーを使いこなしていくことがこれからのアナリストに求められるひとつの要素になるのではないかということでした。

■コミュニケーション能力が最も大事

 最終的にはアナリストの能力としては「コミュニケーション能力」が最も大事だというお話もありました。選手や監督といった伝えたい人に対して、目と目を合わせて「私はこう思う」と誠心誠意伝える。データについても同じで、その数値の持つ価値、意味を理解した上でどのように伝えるのが良いのかを考える必要があるということでした。

 前回の講座で橋本英郎選手をゲスト講師にお呼びした時も「コミュニケーション能力が大事」ということをおっしゃっていました。今回の講座でも同様だったのは大変印象的でした。

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 今回の講座にはアナリストになりたい学生から現場を持つ指導者や一般の方まで幅広くご参加いただきました。これから分析を始めようとしてる学生やチームで分析を行っている方など、それぞれの活動に活かせるヒントや学びを得ていただけたら幸いです。

■受講生の感想(アンケートより抜粋)

・チームの分析担当者の役割やその後の進路なども含めて筑波大学の取り組みを知ることができました。

・筑波大学という現代日本サッカー界に選手、スタッフを多く輩出している大学の監督からメソッドの紹介だけでなく、個人の考えも含め説明があり勉強になりました。

・これから求められるアナリストの需要などを交えた具体例を用いた講演だったので、非常にためになる話が多くありました。

・アナリストとしての役割、今後のサッカーについてなど多くのことをお話していただき学びになったと共に、アナリストの重要性が増していることを再認識できました。

・今後さらに複雑になり多様化してくるサッカーに対してアナリストの需要が増えていくという言葉をいただいたので、その需要、期待にこたえられるような人材になりたいと改めて感じることができました。

チーム・クラブ・学校などでのアナリストのスキルアップや体制作りに向けた出張講座等も対応可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

■お問い合わせ先
データスタジアム株式会社
担当:藤
E-Mail:analyst_lp@datastadium.co.jp

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