レポート

アナリストレポート第10回
「機械学習、VR、5G、ICTの進化・実用化によるスポーツデータのこれから 」

2019年02月13日 野球

野球アナリスト:大川恭平

 

今回はスポーツデータのこれまでとこれからについて、ICTの進化・実用化と絡めて少しお話ししたいと思います。

これまでのデータは「過去がどうだったのか」を示す物

野球のデータと聞いて皆さんはどのようなものを思い浮かべるでしょうか?
紙と鉛筆で記録されたスコアブック、野球場のスコアボードに表示される投手の投球の速度といったものをはじめ、野球中継などでは、投手の球種の割合や平均球速、打者の打率やOPSといった少し複雑なデータを目にしたこともあるかと思います。

皆さんが目にするこういったデータは、観測されたプレーを計測したものやその計測したデータの平均を取ったり、球場や対戦相手、試合状況といった条件別に集計や計算を施したものが大半を占めています。

試合中のプレーなどが紙やコンピュータで記録されるようになってから、2010年代前半まで、こういった過去のプレーを計測したデータや、さまざまな条件を指定して集計・計算されたデータは試合を見守るファンに楽しみを提供し、実際にプレーをする選手をサポートしてきました。

しかし、近年、あるICTの実用によってこれまでより高度なデータが出現しました。

 

機械学習で爆発的に増加するデータの価値 データは「過去がどうだったのか」を知るもの、から「未来がこれからどうなるのか?」を示すものへ

機械学習を用いた「予測」の登場

多くの場合、先ほど挙げたデータは我々人間(アナリストや解説者など)が知識や検証を基に洞察を加えることで、より有益な情報として選手やファンに届けられてきました。

しかし、膨大な量のデータを用いて機械学習をおこなうことによって、高いレベルで有益な情報を提供できるシステムが台頭してきました。

将棋界では2017年に人工知能が現役の名人に勝利し話題になりましたが、野球界では、その年の日本シリーズで野球解説AIの「ZUNOさん(https://www.datastadium.co.jp/news/information/2772)」が視聴者と投球予測バトルを実施し、球種予測とコース予測のいずれも視聴者に勝利しました。

また、2018年のシーズンには週間先発予報という、当日の試合を含む1週間分の先発投手を予報するサービスが始まっており、当社のアナリストと同等かそれ以上の精度で当日を含めた1週間分の先発投手の予報を実現したシステムが開発されています。
「未来を高い精度で予測できる」ということは、それだけで非常に価値を持ちます。例えば球種予測の場合、事前にどの球種が投げられるか分かっていれば打者は打席の中で対決を有利に進めることができますし、予告先発投手が分かればファンは野球観戦を行うスケジュールを立てたりすることもできます。

 

先発予報イメージ大
今後こうした予測システムや予測データを用いたシミュレーション(例えば、明日の試合でA選手とB選手どちらの選手を使うと、勝利期待値が高くなるか?といった事柄を実際にコンピュータ上でシミュレートすることによって確かめるなど)が発達することによって意思決定の際の損失を大きく減らすことが期待されます。

また、「ドラフト1位ルーキーと新助っ人外国人選手」といった実際に過去どうだったかというデータがないような事例であっても、選手を抽象的な情報に置き換え、機械学習をおこないモデルを作ることによって、対戦成績などをある程度予想することが可能になってきています。

機械学習は時に、我々人間では導き出すことが難しい法則や規則を捉え、予測をはじき出してくれます。

 

VRの登場「過去がどうだったか」や「これから現実世界で起こる未来」を体験できる時代へ。

例えば、高い予測力を持ったシステムを用いて「2ストライクに追い込まれた後はこの投手は140km/h台後半のフォークボールを投げてくる」ということが分かっていたとしても、実際にそのボールが投げられたときに適切に対処する(打ち返す、見送る)ことは困難なことも多いです。

VRはこういった課題を解決できる可能性があります。投手の投球モーションや投球の軌道などを現実に近い動きとして仮想空間で体験できるようになってきています。

 

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VRは球速や曲がり幅などを調整し、実際よりも難易度を下げ徐々に慣らしていくといった練習法ができる所や、何度も反復練習を繰り返すことが可能な所も利点です。

こうした仮想空間での反復練習や、難易度を調整した練習をすることで、現実の世界でも技術が向上する事例がいくつも確認されています。

 

VRの恩恵を受けるのは現場の選手に限った話ではありません。例えばですが、実際のプロ野球などの試合を仮想空間に映し出して、あたかも球場で実際に観戦しているような体験ができるサービスも既に始動しています。VR機材があれば、わざわざ球場まで出かけることもなく、野球場で試合を観るような感覚で観戦ができるうえに、現実ではチケットの入手が難しいバックネット裏の最前列の席目線での観戦もできます。
実際の野球場では体験できないような、ベンチの中や審判目線に立って観戦するといったことも実現されていくでしょう。

そしてこれらのことは、処理能力の高いコンピュータやモバイル端末と、今年からスタートする5Gの融合によって、より低遅延でリアルな自由度の高いものになっていくでしょう。

東京に住んでいながら北海道や沖縄など遠く離れた場所にいる友人と一緒に、広島でおこなわれている試合をリアルタイムに選手のいるベンチの中から観戦する時代はもう目の前まで来ています。

 

5Gや実用はまだ先になりそうですが量子コンピュータといった技術が実用化され、既存のICTと共にデータと融合することによって、スポーツはこれからますます面白くなり競技レベルも向上していくことでしょう。我々がまだ知らない楽しみ方や、いつか「できたらいいな」と夢見たことが近い将来現実のものになっていきます。

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