レポート

アナリストレポート第11回
「多様化したデータ表現へ対応するために意識していること」

2019年08月09日 サッカー

サッカーアナリスト:八反地勇

アウトプットの際に大切なこと

 これまで、当社がファンやサポーターに向けてデータを紹介する際の主なメディアはテレビ、新聞、雑誌でした。現在はインターネットの普及によってウェブサイトへの掲載も増え、TwitterなどのSNSを利用してファンに対して直接的に伝えることもできるようになりました。

 以前は文章や静止画でデータを紹介するケースが多かったのですが、ネットワークの高速化に伴い、動画を活用したデータの紹介も増えつつあります。活用する媒体や情報の受け手はそれぞれ異なるため、アウトプットする際には「どういった方をターゲットにし、どのようにデータを表現するのか」という点を必ず考慮する必要があります。

工夫の必要な「表」とフィールドを生かした「グラフ」

 例えば「表」を利用したデータ表現は一般的で、昔から数値を活用している方にとっては最も慣れ親しんだ表現方法かと思います。表は一画面に多くの数値情報を含めることができるため、広い範囲の数値を掲載したい場合や二次利用の可能性を考慮する場合にとっては最適な手段ではありますが、特徴を把握しづらい側面があります。特に今は短い時間で情報をインプットする時代ですので、データを脳に読み込むのに数秒であっても時間を要する表は現代的ではないのかもしれません。よって表を作る際には、注目するポイントを際立たせるなどの工夫を凝らし、単純な数値の羅列とならないよう意識しています。この際、フォントや色の選択が重要となります。



 表以外ではグラフを利用するのが一般的です。私が担当しているサッカーの場合、フィールドを模したデータ表現がよく見られます。フィールドの中にデータを配置することで、直感的にどのエリアを指しているのか、どのポジションの選手のことなのかなどが分かりやすく伝えられるメリットがあります。また、現在はトラッキングデータや GPS、画像解析によって全てのプレーヤーの運動データを活用できるようになりました。どの選手がどれくらいのスピードや距離で動いているのかを動画やアニメーションで表現する事例も増え、サッカー中継でも映像に併せてこうしたデータが活用される時代となっています。


読み手の関心をつかむビジュアル

 データを視覚的に表現する「インフォグラフィック」も、現代的なデータ表現としてよく見られるようになってきました。例えば300試合の出場を祝おうと思った場合に単に文字だけで紹介するのは少々味気ないですが、写真やイラストを利用してリッチに見せるだけで受け手の反応も大きく変わってきます。エンターテインメント性の高いインフォグラフィックは深い分析には向かない側面もありますが、さまざまな受け手に対してデータへの関心を引きつける上で適切な表現手段と言えます。

 AIの発展が進めば、このようなクリエイティブな作業も人間の手から離れていく可能性もありますが、まだまだ人間の発想力と技術が必要です。アナリストとしてより多くの方にスポーツの魅力を伝えていくためにも、分析力や文章力の向上とあわせてビジュアル表現の情報収集を欠かさないようにしています。

Football LAB<コラム>
http://www.football-lab.jp/column/

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