こんにちは。データスタジアムラグビーチームです。初の日本開催となったラグビーワールドカップ2019(以下:今回大会)は大盛況のうちに幕を閉じました。我らが日本代表も素晴らしい戦いぶりで日本中に新たなラグビーファンを生み、空前のブームを巻き起こしました。
ラグビーが持つ競技性や精神性もこの流行に一役買っていたかと思いますが、なんといっても日本代表のラグビーが強くて、観ていて面白かったことが最大の要因だったと思います。
今回大会における日本代表のラグビーは、オフロードパス(タックルを受けた状態でのパス)や多彩なキックを交えながらボールを大きく動かす攻撃的なプレースタイル、初めてラグビーを見た人でも興奮できる魅力に溢れるものでした。
今日は、今回大会の日本代表のラグビーが、ラグビーワールドカップ2015(以下:前回大会)からどのように変化したのか、当社が収集したデータで比較しながら見てみましょう。
1.フィールドを大きく使った展開ラグビーへの転換
2016年にジェイミー・ジョセフヘッドコーチが就任すると、個々の判断力をより重視し、オフロードパスやキックを使いながら、相手の守備陣形を崩す戦術が用いられるようになりました。その特徴が色濃く出ている数値を前回大会のデータと比較していくつか挙げてみます。下の表を見てください。(以下、表・グラフ内で使用されるデータは全て、今回大会、前回大会のプール戦4試合ずつのデータを使用)
パス数とキック数はそれぞれ約1.2倍、約1.4倍と大きく増加しました。また、「アタック時に外側を攻めた割合」に関しては2.5倍ととても大きな変化が見られ、相手ディフェンスの外側のエリアに積極的にボールを回すようになっています。
下のグラフを見ると、攻撃ラインの外側に位置するウイングやフルバックといったポジションの選手がボールを運んだプレー(ボールキャリー)が増加したこともそれを裏付けています。
グラウンドを大きく使った攻撃によって、松島幸太朗選手、福岡堅樹選手らウイング陣に多くボールを回し、彼らのスピードを活かそうという意図が見えてきます。
この2人は「日本製ダブルフェラーリ」と称されるスピードスターで、松島選手は5トライ、福岡選手は4トライと2人で9トライを記録。日本が奪った13トライのうち約70%をこの2人が占めました。
2.「フェラーリの潤滑油」となったセンターコンビ
そんなウイング陣にボールを繋ぐ役割を持つセンター(背番号12番、13番)の2人のプレーも前回大会と比べると大きな変化がありました。
12番の中村亮土選手のプレー数について、前回大会で12番を務めた選手のプレー数と比べてみると、ボールキャリーやキックの回数が大幅に減りパスの回数は約2倍に増えています。
中村選手は過去に司令塔役であるスタンドオフの経験もあり、視野の広さとパスの技術に定評がある選手です。自分でボールを運ぶことよりパスを多く選択し、外で待つフィニッシャーへ素早くボールを渡すプレーが印象に残りました。
ウイングと近い位置でプレーする13番のプレーも同じように見てみると、パスだけでなく、プレー数自体が大幅に増加しました。今回大会で13番を務めたラファエレティモシー選手も中村選手と同様にスタンドオフの経験があり、パスやキックの技術はもちろん、状況を判断して最適なプレーを選択する能力にも長けています。
今回大会のロシア戦でタックルを受けながらのオフロードパスが松島選手のトライに繋がったプレーや、スコットランド戦で相手ディフェンスラインの裏にキックを転がし、福岡選手のトライを生んだシーンなど、トライの「1つ前」の気の利いたプレーで数多くのチャンスを創り出しました。
この2人のセンターコンビはあまり目立たず、メディアに取り上げられていた訳ではないですが、日本の攻撃を構成するとても重要なパーツとして機能していました。一見しただけでは分からない、だけど実は重要な働きをしていた選手を紹介できるのもデータのメリットですね。
3.この盛り上がりをトップリーグへ
データスタジアムでは代表の試合だけではなく、トップリーグや大学などのデータ取得も行っています。今回大会からラグビーを観始めた方も、長く見てきた方も、全てのファンがより一層ラグビーを楽しむことができるように、データを使って盛り上げていくお手伝いができればいいなと思います。
2020年1月からトップリーグが開幕します。日本代表の選手や、他の国の代表選手もたくさん日本にやってきてプレーしますので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?
また、データスタジアムでは現在、ラグビーのプレー情報入力アルバイトの募集も積極的に行っています。ラグビーが好きな人、ラグビー経験を活かした仕事がしたい人のご応募を心よりお待ちしております。(ご応募はこちらから)
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