レポート

アナリストレポート第26回
「ラグビーで一番得点に直結するプレーは何か?」

2021年02月19日 ラグビー

 こんにちは。ラグビーアナリストの小川です。トップリーグ2020-2021シーズンもいよいよ開幕が迫ってまいりました。データスタジアムでもラグビーデータを収集していく、忙しい日々が始まります。

 スポーツデータ界では野球の統計的データ活用が非常に盛んで、ファンのみなさんにも段々と浸透してきているのではないでしょうか?打率や防御率以外にもOPSなど新たな指標を目にした事がある人も多いと思います。OPSとは出塁率+長打率の数値で.766以上で優れた打者、.999以上は非常に優れた打者(※1)と評価されています。

 なぜOPSが選手評価に使われるようになったかというと、得点との相関関係が強い事があげられます。相関関係とは簡単にいうとAとBの事柄になんらかの関連性があるものという事です。例えば気温と汗の量の関係は、気温が上がれば上がるほど汗をかく量が増えていくので相関関係があるといっていいでしょう。

 野球のデータで見てみると、チームの得点にとても相関が強かったのがOPSです。その相関係数は0.9以上で打率よりも相関関係が強く(※相関係数が1に近づくほど相関が強いと言える )、選手の評価として一般的になってきました (※2) 。

ではラグビーの色々なデータの中で得点との相関関係が大きいデータは何になるのでしょうか?パス数、コンタクト数、キック数、ラインブレイク数など攻撃に関わる数字で、得点数との相関関係を調べてみました。
※2018-2019トップリーグ全試合でのデータ

【図1】各プレーと得点との相関係数

 図1を見てみるとわかるのですが、得点に直結するプレーであるトライを除いて、1番相関関係が強くみられたのはラインブレイク数のデータです。

 ラインブレイク数とは相手のディフェンスラインをボールを持って突破した回数の事です。ラインブレイク数と得点との相関数値は0.82と相関関係があるといえる数値となっています。では実際にラインブレイク数が多いチームが本当に得点が多かったのかを見てみましょう。

【図2】得点とラインブレイク数の関係

 図2を見てみると得点が多い神戸製鋼、NTTコム、ホンダがラインブレイク数でもリーグ内トップ3となっており、ラインブレイク数が多いチームが得点も多い事がわかるのではないかと思います。

 ラグビーは色々な要素が絡んでおり、野球ほどデータで直接的に要因を導き出すのは簡単ではないのですが、今回は様々な要因を排除して得点に関わるデータだけに絞って考えてみました。どれだけ攻撃が継続できたかよりも、いかに相手のディフェンスを突破できているか。こうした目線から、今年のトップリーグを楽しんでみてはいかがでしょうか?

※1、※2…Baseball LABを参照
得点力を見る上で「打率」は価値のない指標なのか?

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