レポート

アナリストレポート第27回
「奈良クラブ前監督 林舞輝氏に聞くMY TAGTICの活用方法」

2021年02月22日 サッカー

 データスタジアムフットボール事業部の高橋です。当社では撮影しながら編集できる、初めての方でも簡単なスポーツ映像分析アプリ「MY TAGTIC」をリリースしました。リリース直後から多くの指導者やチーム関係者の方々にご利用いただいております。ありがとうございます!

 欧州サッカーで最先端の理論を学び、2020年には25歳でJFL奈良クラブの監督に就任し手腕を発揮した林舞輝さんも、リリース直後からMY TAGTICをご利用頂いた一人。奈良クラブを指揮していた際にどのようにMY TAGTICを利用して分析をしていたのか、映像の活用法、気を付けていたことなどを昨年12月3日に伺いました。

プロフィール
林舞輝
1994年12月11日生まれ。26歳。イギリスの大学でスポーツ科学を専攻し、首席で卒業。2017年よりポルト大学スポーツ学部の大学院に進学。同時にポルトガル1部リーグに所属するボアビスタのBチームのアシスタントコーチを務める。モウリーニョが責任者・講師を務めるリスボン大学とポルトガルサッカー協会主催の指導者養成コースに合格し、モウリーニョを筆頭に世界トップレベルの指導者の教えを受ける。2019シーズンはJFL奈良クラブのGM、2020シーズンからは監督を務め、2021年シーズンより浦和レッズのコーチ(分析担当)に就任。

「ハーフタイムに映像を用いてフィードバック」

――奈良クラブでは試合中に映像を用いて分析し、ハーフタイムに選手にフィードバックをしていたと伺いました。

現状を把握し次の策を打つためにも、映像を用いて試合中やハーフタイムにすぐに客観的に振り返ることは重要です。選手は客観的に試合を見ることはできません。もちろん監督をしていた僕でさえベンチから見ていても、逆サイドで何が起きているのか分からないことが多かった。気が付いたら相手にシュートを打たれていたとか、味方がクリアしていたなど、把握する前にプレーが終わっていたことがしょっちゅうでした。

――どのようにMY TAGTICを活用していたのでしょう?

MY TAGTICはスタンドにいる分析担当コーチが試合をiPadで撮影しながらタグ付けをしていました。ベンチとスタンド間では常に連絡を取っていて、僕から「今のシーン気になったからタグ付けしておいて!」と伝えたり、全体で共有した方がよいシーンを分析担当コーチが自ら考えてタグ付けしてくれることもありましたね。

そして前半が終了したらすぐに分析コーチがスタンドからロッカールームに下りてきて、僕にタグ付けしたすべてのシーンを見せてくれるんです。その中から1、2シーンを後半に向けて選手にフィードバックしていました。

――なるほど。ハーフタイムは時間がないので大変ですよね。

そうなんです。ハーフタイムはとにかく時間がない。選手の体の状態をチェックしたり、選手同士の会話の時間を設けたり、コーチ間で打合せをしたり。そうすると全員でミーティングをする時間は5分程度しかない。なので映像は共有できても1、2シーンくらいでしたね。

効率化という点で、分析コーチはとても助かっていたと思います。今までは試合映像が欲しいとき、紙にメモして、ハーフタイムに映像をPCで切り取る作業があったので。MY TAGTICはシンプルに使えて、カスタマイズできるし、iPad一つで分析ができる。作業を省くことができた結果、試合の分析に集中できたんじゃないかと思います。

「選手に自信とメンタリティーを植え付ける」

――ある選手が「ハーフタイムに客観的に振り返ることによって後半に向けて自信を持つことができるようになった」と話していました。

特にそれが顕著に現れたのは、2020年の最終節ですね。1点リードしていた前半、相手に攻撃され自陣に押し込まれる時間が長かったのですが、ふとピッチの中央を見ると相手のDFと僕らのFWが数的同数でした。「これはカウンターのチャンスだ!」とベンチでは分かっていたのですが、選手は守るのに一生懸命だったので、その感覚がありませんでした。むしろ押し込まれていることで、「自分たちの時間ではない」「やられている」「苦しい」といった感覚になってしまっていたんですよね。

なので、ハーフタイムに映像を見せて「相手の攻撃より、俺らがカウンターで攻めたほうが絶対チャンスになるよ。押し込まれて攻撃されているのはむしろチャンスなんだ」と伝えました。そしたら狙い通りカウンターから2得点し3-0で勝利したんです。

――それは狙い通りですね!すごい!

映像で振り返ったことでかなり説得力があったし、選手も自信をもって守備をすることができた。もしこれを映像で振り返れていなかったら、相手の攻撃に屈し失点をしてしまっていたと思います。選手に自信とメンタリティーを植え付けさせることができたのは、映像で客観的に振り返ることができたおかげですね。

――MY TAGTIC含めてテクノロジーを使う際に気を付けている点は何でしょうか?

僕が判断して扱うということです。絶対使わなければいけないということはないですし、使うのが正しくないときもあります。映像もその瞬間のチーム状況によっては見せないほうが良いときもあります。

――テクノロジーを使うことが目的になってはいけないと。

その通りです。あくまで僕の手持ちの武器が増えただけで、常にその武器を使わなければいけないわけではありません。隠しておくこともできるし、いざというときに使うこともできる。武器をどこで使うかと、武器を持っているはまた別の話です。

――ありがとうございます。では最後にMY TAGTICへの今後の期待を教えてください。

とにかく誰でも使える、初見でも使える、簡単で分かりやすく世界中の人が使えるものになってほしいですね!分析というと難しいことだと捉えがちですがそうではないです。たくさんの人の分析へのハードルを下げてくれることを期待しています。

MY TAGTIC ホームページ:https://www.mytagtic.app/

Twitter:https://twitter.com/mytagtic

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