レポート

アナリストレポート第3回
「サッカーにおける分析の進化/深化」

2018年08月28日 サッカー

サッカーアナリスト:久永啓

スポーツアナリスト需要の増加やそのスキルの進化に対応すべく、当社では昨年5月にスポーツアナリスト育成講座を開講しました。私自身は、その企画から携わり講師も務めています。

詳細は各報告をご覧いただきたいのですが、本レポートでは、講座を通じて実感した「サッカーにおける分析の進化/深化」についてお伝えしたいと思います。

さて、今回の2018FIFAワールドカップロシア大会ですが、今まで以上にサッカーを巡る様々な変化が見られた大会だったように思います。
アナリストという視点からは、ITやデータがその存在感を過去最高に示した大会とも言えるでしょう。

一言で言うと、時代の流れということになるかもしれませんが、私自身、5年前までJリーグクラブの現場に立っていた経験からも、サッカーの分析を通じてチームに貢献することを仕事としている現場のアナリスト(テクニカルスタッフ、分析担当とも言います)について、要求されるスキルがここ1~2年で変わってきていると感じています。
当時は、ベースとしてサッカー分析力とそれを伝える能力にプラスして、PC操作と映像編集スキルなどが求められていました。しかし、それが大きく、しかも急激に変化しているようです。

スポーツアナリスト育成講座は、昨年の開講以来、3回にわたって実施しました。それぞれの回で傾向は違うものの、様々なバックボーンをお持ちの方々が受講してくださいました。それぞれに「サッカーを深く学びたい」という思いがベースにあるのは言うまでもないのですが、「ITやデータを活用しての分析」に対する興味関心が高い方も多くいらっしゃいました。
講座内では、ITやデータを活用しながら、いかに分析の効率・効果を上げるかという点にもチャレンジしていただきましたが、このスキルは今後のサッカー分析において不可欠だと私は考えています。

育成講座①
受講生の個人ワーク(スポーツアナリスト育成講座Vol.3)

育成講座②
分析システムの活用実践(スポーツアナリスト育成講座Vol.3)

また、本講座の受講以外でもお問い合わせをいただき、「出張版スポーツアナリスト育成講座」という形でも講座を実施しています。
内容としては、サッカーの分析、データを活用した分析、スポーツマネジメントへの応用などご要望に沿った形で対応させていただいていますが、これも「サッカー分析×IT/データ」への注目度の高さを窺い知れる現象かなと思っています。

横浜FC
横浜FC様向け出張講座「サッカー分析力アップ研修」

熊本県協会
熊本県サッカー協会様向け出張講座「サッカーにおけるデータ活用の現場と今後の展望」

ここで一つお伝えしたいのは、「IT/データを活用した分析」というと、難しい数字の羅列を読み取ったり高価な分析システムを導入したりというイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、現在、我々が取り扱っている内容は、サッカーにおいて「データ」という客観的なものさしを使うことにどのような意味があり、どれくらいの効果が期待されるのか、そして最も大事なこととして、それを現場でどのように活用すればいいのかという、ベースの部分です。
一例として実際に行った内容を挙げますと、まずはサッカーデータの理解から始まり、データを扱う上で気を付けることをお伝えします。そして、実践としてチームやパフォーマンスの成長を測るための具体的なデータ指標を考えます。さらには、手を動かしてデータ取得体験(自分で数える!)をし、受講者同士の意見交換を通じてブラッシュアップを図ります。印象としては、我々の話よりもこのワークが一番盛り上がっている気がしています(笑)。実際に具体的な方法を体験しながらトライしてみることで、今後のご自身の活動でそれをどう活用すれば良いかイメージしやすいのではないでしょうか。サッカーのデータについて興味を持つ方が多くなってきているようで、積極的に取り組んでいただいています。

また、分析ノウハウだけでなく、分析の礎となる、サッカーやIT/データに関する情報のアップデートの重要性についてもお伝えしています。今は、インターネットやSNSを通じて、世界中のサッカー情報をいつでもどこでも誰でも簡単に手に入れることができます。まずは、その情報をしっかりキャッチできる環境に身を置くこと。そして、その中から自分に必要な情報を取捨選択するリテラシーを磨くことが重要です。サッカーに関わる事象の変化スピードが高速化している中で、日々更新されている情報を自身のスキルアップのために活用できるかどうかが、分析力の差につながっていくのではないでしょうか。
この点では、個人的には、「サッカークラスタ」と呼ばれる、国内外の試合を分析しSNS上で発信と議論を行う方々に注目しています。海外ではサッカー分析専用のwebサイトに投稿した分析記事を通じてトップリーグの指導者とつながり、そのネットワークをもとにプロクラブのスタッフに登用されたという、今まででは考えられないような事例があるようです。日本でも、サッカークラスタの方々の幅広い情報や奥深い知見を有効活用させてもらうことも、今後のサッカー分析スキルを磨くうえで大きなポイントになると思っています。

このような取り組みに関しては、今年1月以降、都道府県サッカー協会、Jクラブアカデミー、大学サッカー部などからお声掛けをいただいています。今後もこういった機会を多く作れるように積極的に取り組んでいく予定です。

サッカーだけでなくスポーツ界におけるIT/データの活用は、さらに広がっていくことは間違いありません。そうなると、分析手法を「IT/データ『も』活用した分析」へと進化させ、それによって分析内容を深化させることが必要になってきます。そして、それが浸透していくことで、日本スポーツ界の発展スピードが今以上に加速されると考えています。
この流れに対して、我々としても微力ながら貢献できるように取り組んでいきたいと思っています。
ご興味ある方は、是非お気軽にお問い合わせください。

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